横浜の介護付き高級老人ホームを退去した人はどこへ行く?退去先、看取りの体制、入居者の介護度、契約前に確かめること
親が入るホームに、最期まで住み続けられるのか。老人ホームを選ぶ家族が気にすることの一つです。
横浜市が公開している有料老人ホームの重要事項説明書には、前の年度に退去した人がどこへ移ったかが、人数で書かれています。行き先は自宅、社会福祉施設、医療機関、死亡に分かれています。介護付きの高級老人ホーム36施設を退去した758人を数えると、死亡による退去が596人、79%でした。病院などの医療機関へ移った人は65人、9%です。
同じ横浜市のふつうの介護付き有料老人ホーム159施設では、退去した2,913人のうち、死亡が65%、医療機関が19%でした。高級老人ホームでは、病院へ移る人の割合がふつうのホームの半分以下です。

退去の8割近くは死亡、ふつうのホームは65%
重要事項説明書の「前年度における退去者の状況」には、1年間に退去した人の行き先が人数で書かれています。横浜市の介護付き有料老人ホームを、月額30万円以上、または入居一時金1,000万円以上の高級老人ホーム36施設と、それ以外の159施設に分けて数えると、次のとおりです。
| 退去した人の行き先 | 高級 | それ以外 |
|---|---|---|
| 死亡 | 79% | 65% |
| 医療機関 | 9% | 19% |
| 社会福祉施設 | 9% | 13% |
| 自宅 | 4% | 3% |
退去した人は、高級老人ホームが36施設で758人、それ以外が159施設で2,913人です。施設ごとに見ても、死亡による退去の割合の中央値は、高級老人ホームが83%、それ以外が67%でした。
住宅型も含めた高級老人ホーム51施設で見ても、退去した980人のうち死亡は755人、77%です。高級老人ホームでは、退去の4人に3人以上が、亡くなったことによる退去です。
病院へ移る人は、ふつうのホームの半分以下
医療機関への退去は、入院が長引いたり、医療の必要が大きくなったりして、ホームに戻らずに契約を終えた人です。高級老人ホームでは9%、ふつうのホームでは19%でした。
入院が長く続いたときにどうなるかは、ホームの契約によって違います。入院が決まった期間を超えると契約が終わるホームもあれば、入院中も居室を残して戻れるホームもあります。医療の必要が大きくなったとき、ホームの中で受け止められるかどうかも、看護職員の体制や協力医療機関との関係で変わります。
高級老人ホームは看護職員を厚く置いていることが多く、東京の重要事項説明書では、夜中も看護師がいるホームが高級老人ホームで33%、ふつうのホームで12%でした(夜間の看護体制の記事)。病院へ移る人が少ないのは、こうした体制の差とつながっていると考えられます。

看取りの体制は、高級の9割、ふつうは3分の2弱
介護保険には「看取り介護加算」という仕組みがあります。医師が回復の見込みがないと判断した入居者について、本人や家族の同意を得て看取りの計画を立て、最期まで介護する体制を整えたホームが届け出るものです。
介護サービス情報公表システムで全国の介護付き有料老人ホームを見ると、看取り介護加算を届け出ているのは、高級老人ホームが931施設のうち828施設、89%でした。ふつうの介護付き有料老人ホームは1,462施設のうち957施設、65%です。

入居者の3割近くは、介護の要らない人
もう一つ大きく違うのが、住んでいる人の顔ぶれです。横浜市の介護付き高級老人ホームの入居者3,301人のうち、介護の要らない「自立」の人は27.7%でした。ふつうのホームでは9,374人のうち0.4%です。要介護3以上の人は、高級老人ホームが33.3%、ふつうのホームが47.0%でした。

1年間に退去した人の数を入居者の数で割ると、高級老人ホームは23%、ふつうのホームは32%でした。高級老人ホームは、元気なうちに入って長く暮らし、最期を迎える場所として使われていることがうかがえます。
ただし、入居者の顔ぶれが違う以上、死亡による退去の割合の差が、すべて介護や看護の手厚さによるものとは言えません。元気なうちに入った人は、病気が重くなる前の時間を長くホームで過ごします。その分、病院へ移る場面が少なくなることも考えられます。
最期まで暮らすために、契約の前に確かめること
- 重要事項説明書の「前年度における退去者の状況」を見る。 死亡と医療機関の人数で、そのホームで最期を迎える人がどれくらいいるかが分かります
- 同じ欄の「生前解約の状況」を見る。 ホームの側から契約を解いた人数と、その理由の例が書かれています
- 入院が何か月続くと契約が終わるかを、契約書で確かめる。 入院中の居室の扱いと、その間の費用も聞きます
- 看取りの体制を聞く。 看取り介護加算の届出、看取りの指針、前の年度に何人を看取ったかを確かめます
- 医療的なケアが必要になっても住めるかを聞く。 たんの吸引、胃ろう、在宅酸素、夜間の対応を具体的に確かめます
「終の棲家」と書かれていても、最期まで住めるかどうかはホームごとに違います。数字は重要事項説明書で、条件は契約書で確かめてください。
この記事の数字について
- 横浜市が公開している有料老人ホームの重要事項説明書(2026年8〜9月に取得)の「前年度における退去者の状況」と「入居者の状況」を集計しました
- 退去した人の行き先は、自宅・社会福祉施設・医療機関・死亡の4つの合計に対する割合です。重要事項説明書には「その他」の欄もありますが、ここには含めていません。原本を確かめた37施設では、「その他」は退去した人の2.7%でした
- 高級老人ホームは、月額30万円以上、または入居一時金1,000万円以上のホームです。月額と入居一時金は、重要事項説明書の料金表から読み取った値で判定しています
- 比べたのは介護付き有料老人ホーム同士で、高級36施設とそれ以外159施設です。住宅型には、がんの末期の人などを受け入れる看取り専門のホームが含まれ、退去の傾向が大きく違うため、比べる相手から外しました
- 看取り介護加算の届出は、介護サービス情報公表システムの全国の介護付き有料老人ホームの値です
- 37施設は、重要事項説明書の原本と数字を突き合わせ、行き先の4つの人数が35施設すべてで一致することを確かめました。残る2施設は手元のデータに退去者の記載がありませんでした
出典
- 横浜市「有料老人ホーム重要事項説明書」をもとに玉苑編集部が集計
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
- 東京都福祉局「東京都有料老人ホーム重要事項説明書一覧」(CC BY 4.0)(夜間の看護体制の数字)