コラム

高級老人ホームの月額費用に含まれないものは?介護保険の自己負担、上乗せ介護費、医療費と日用品、実際に払う額の試算

公開日 玉苑編集部
高級老人ホームの月額費用に含まれないものは?介護保険の自己負担、上乗せ介護費、医療費と日用品、実際に払う額の試算

高級老人ホームのパンフレットには「月額 45万円」のように金額が書かれています。ところが、実際に毎月払う金額はそれより多くなるのが普通です。差が出るのは、月額に含まれているものではなく、含まれていないもののほうです。

この記事では、月額の中身を「含まれているもの」と「外に出ているもの」に分け、外に出ている費用がいくらになるかを、介護報酬の単位数と玉苑に掲載している施設のデータから具体的に出します。

月額に含まれているもの——全国平均17.2万円の中身

みんなの介護研究所が2026年8月に公表した調査では、介護付き・住宅型の有料老人ホーム11,179件の月額費用は平均17.2万円で、内訳は家賃36.6%(約6.3万円)、食費27.0%(約4.6万円)、管理費26.6%(約4.6万円)、その他2.9%、水道光熱費2.0%、介護費(任意)1.9%でした。家賃・食費・管理費でほぼ3等分です。

全国の有料老人ホームの月額17.2万円の内訳。家賃36.6%、食費27.0%、管理費26.6% 出典:みんなの介護研究所「月額費用内訳調査」2026年8月31日

高価格帯では、構成が変わります。玉苑に掲載している施設の重要事項説明書から項目ごとの中央値を出すと、家賃12.7万円、管理費10.3万円、食費6.5万円、水道光熱費1.3万円。そして、設定のある施設に限ると上乗せ介護費が8.3万円で、食費を上回ります。

玉苑掲載施設の月額の内訳(中央値)。家賃12.7万円、管理費10.3万円、上乗せ介護費8.3万円、食費6.5万円、水道光熱費1.3万円 玉苑掲載データ(2026年9月時点)。項目ごとの中央値で、同じ施設の合計ではない

パンフレットの「月額」に入っているのは、原則として次の4つです。

  • 家賃(入居一時金で前払いしている場合は、その分が引かれている)
  • 管理費(事務管理部門の人件費、共用部の維持管理費、生活支援サービスの人件費など)
  • 食費(3食分。喫食した分だけ精算する施設もある)
  • 水道光熱費(居室分。管理費に含む施設もある)

ここまでが「月額」です。全国有料老人ホーム協会も、月額の基本構成を家賃・管理費・食費・介護費・その他としています。問題は、この「介護費・その他」が施設によってどこまで月額に入っているかが違うことです。

外に出ているもの①——介護保険の自己負担

介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)では、要介護度に応じて介護保険の給付を受け、その自己負担(1〜3割)を毎月払います。基本報酬は1日あたりの単位数で決まっていて、2024年度改定後は要介護1が542単位、要介護2が609単位、要介護3が679単位、要介護4が744単位、要介護5が813単位です。

介護付き有料老人ホームの介護保険自己負担。要介護1〜5、1〜3割負担で月1.6万〜7.3万円 計算:玉苑編集部。1単位10円・30日・加算なし

1単位10円・30日で計算すると、要介護3・1割負担で月20,370円、3割負担で61,110円。要介護5・3割負担なら73,170円です。実際には地域区分の単価(東京23区は1単位11.40円)と、各種加算(夜間看護体制加算、看取り介護加算、個別機能訓練加算など)が上乗せされるので、これより1〜3割ほど多くなります。

負担割合は本人の所得で決まります。目安として、65歳以上で本人の合計所得金額が160万円以上、かつ年金収入とその他の合計所得の合計が単身で280万円以上(2人以上世帯で346万円以上)なら2割、合計所得220万円以上かつ単身340万円以上(2人以上世帯で463万円以上)なら3割です。高価格帯の入居者は3割になることが多く、要介護度が上がるほどこの金額も上がります。

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では仕組みが違います。施設が包括的に介護するのではなく、外部の訪問介護・通所介護などを個別に契約して使うので、要介護度ごとの区分支給限度額の範囲で使った分の自己負担がかかります。限度額を超えた分は全額自己負担です。

外に出ているもの②——上乗せ介護費

介護保険の人員基準は「要介護者3人に対して介護・看護職員1人」です。高価格帯の施設はこれより手厚く、2.5対1、2対1、1.5対1といった配置をうたっています。基準を超えて配置した職員の人件費は介護保険の給付対象にならないので、「上乗せ介護費」「介護サービス費」「サービス強化費」などの名目で、入居者が全額を負担します。

金額は施設によって大きく違います。一般には月5万円程度から、手厚い施設では20万〜30万円以上とされ、玉苑に掲載している施設で設定のある218施設の中央値は8.3万円、四分位は3.8万円〜9.9万円です。要介護度に関係なく毎月かかり、自立の方にも請求する施設があります(自立と要介護で金額を変える施設もあります)。

上乗せ介護費で確かめたいのは、金額そのものより「その人件費が実際の配置に反映されているか」です。重要事項説明書の職員体制には、届出時点の常勤換算人数が職種別に書かれています。入居者数で割って比率を出し、契約上の「2対1」と合っているかを見てください。この点は職員配置比率の記事で詳しく扱っています。

外に出ているもの③——医療・日用品・横出しサービス

月額の外に置かれる費用は、ほかにもあります。

  • 医療費:訪問診療の自己負担、薬代、通院時の付き添い費用
  • おむつ代・日用品:施設が用意する場合は実費、または定額
  • 理美容:訪問理美容の料金
  • 横出しサービス:買い物代行、規定回数を超える通院付き添い、個別の外出同行など、介護保険の対象外のサービスを施設が独自に提供するもの。全額自己負担
  • 居室の電話・インターネット・新聞
  • レクリエーション・行事の実費

一つひとつは小さくても、介護が必要になると合計で月に数万円になります。

試算——月額45万円のホームで、実際に払うのはいくらか

具体的に置いてみます。パンフレットの月額が45万円(家賃・管理費・食費・光熱水費)の介護付き有料老人ホームに、東京23区で要介護3・2割負担の方が入居し、上乗せ介護費が玉苑掲載の中央値8.3万円、医療・日用品・理美容が月3万円だったとします。

月額45万円のホームで、要介護3・2割負担・上乗せ介護費ありの人が実際に払う額は約60.9万円 計算:玉苑編集部(例示)

介護保険の自己負担は679単位 × 30日 × 11.40円 × 0.2 = 約4.6万円。上乗せ介護費8.3万円、医療・日用品3万円を足すと、実際に毎月払う額は約60.9万円。パンフレットの月額より16万円、35%多い金額です。

同じ人が要介護5になり3割負担なら、介護保険の自己負担は813単位 × 30日 × 11.40円 × 0.3 = 約8.3万円になり、合計は約64.6万円。月額45万円のつもりで入って、数年後に65万円近くになる。これは極端な例ではなく、上乗せ介護費のある高価格帯の施設で普通に起きることです。

重要事項説明書の「利用料金」欄の読み方

重要事項説明書の「利用料金」の項目には、月額に含まれるもの・含まれないものが一覧で書かれています。パンフレットの金額だけで比べず、この一覧を施設ごとに並べてください。とくに確認したいのは次の5点です。

  1. 上乗せ介護費はあるか。あるなら要介護度ごと・自立の方でいくらか
  2. 食費は固定か、喫食した分の精算か。欠食時に返金があるか
  3. 水道光熱費は管理費に含まれているか、別か
  4. 利用料の改定ルール:改定の要件(物価・人件費など)、何か月前に通知するか、同意が必要か。2026年は物価高を理由に管理費・食費を改定する施設が増えています
  5. 一時金型と月払い型で、月額の中身(家賃の有無)がどう違うか

玉苑では、重要事項説明書から読み取った内訳を各施設のページに載せています。「月額に含まれるもの」と「別途かかるもの」を分けて表示していますので、同じ条件で比べられます。

「いまの状態」ではなく「変わったあと」で試算する

入居時は自立でも、数年のうちに介護が必要になることは珍しくありません。玉苑に掲載している施設の入居者の平均年齢は中央値88.9歳、要介護度の分布を見ると、要介護3以上の方が全体の3割を超えています。

月額を比べるときは、いまの状態での金額だけでなく、要介護3になったときにいくらになるかを、それぞれの施設で計算しておくことをすすめます。介護保険の自己負担と上乗せ介護費が加わると、施設によって差が月10万円以上開くことがあります。パンフレットの月額が安い施設のほうが、要介護3以降は高くなる、ということも起きます。

見学で聞く5つのこと

  • 上乗せ介護費はいくらか。自立の方にもかかるか。要介護度で変わるか
  • 介護保険の加算は何を算定しているか(夜間看護体制、看取り、個別機能訓練など)
  • 医療費・おむつ代・理美容・買い物代行の実費はどのくらいか。いま入居している方の平均でよい
  • 直近で利用料を改定したのはいつか、何をいくら上げたか
  • 要介護3の入居者が実際に毎月払っている額は、平均でいくらか

最後の質問に具体的な数字で答えられる施設は、費用の説明が誠実です。

出典

  • 株式会社クーリエ(みんなの介護研究所)「月額費用内訳調査」2026年8月31日
  • 公益社団法人全国有料老人ホーム協会「有料老人ホームでの生活に必要な費用」
  • 2024年度介護報酬改定 特定施設入居者生活介護費の基本単位数(介護健康福祉のお役立ち通信「特定施設入居者生活介護費 単位数一覧」2026年4月6日更新)
  • 厚生労働省「介護保険の利用者負担割合」(2割・3割の判定基準)
  • 笑がおで介護紹介センター「介護付き有料老人ホームの『上乗せ介護費』とは?」2025年11月21日更新
  • 玉苑掲載データ(重要事項説明書からの集計、2026年9月時点)